エンタメ契約の世界

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秘密保持契約書(NDA)のチェックポイント1 甲乙双方が秘密保持義務を負う形か

昨日は、秘密保持契約書のリーガルチェック及び修正対応を行ったので、今日は秘密保持契約書のチェックポイントについて。この秘密保持契約書、NDAともよく呼ばれます。また機密保持契約書という場合もあります。秘密も機密も同じような意味ですので、正直どちらでもよいと思います。割合としてはどちらも多いので、どちらの方が多いともいえない感じですね。



当事務所では、その秘密保持契約書のリーガルチェックのご依頼を受けることが多いです。件数だけでいえばもしかしたら一番多いかもしれません。ただ、作業的にはそこまで難しいものではありません。といいますのも、だいたいの秘密保持契約書はある一定のフォーマットの範疇のものであり、変わったフォーマットや内容のものは少ないので、チェックするべきポイントはある程度絞られてきます。なので作業的にはそこまで難しいものではありません。



但し、海外に本社がある法人の秘密保持契約書は、やや癖のあるものも多いですね。そうした海外に本社がある法人の秘密保持契約書は、その海外本社で作られたものですので、日本でよくみる秘密保持契約書とはフォーマットや内容がやや異なることが多いです。また、日本語への翻訳の精度なんかもポイントですね。この日本語への翻訳の精度があまり高くないと直訳的で読みづらく、場合によっては誤訳ではと思われる個所があったりしますので、また特殊なチェック作業になりがちです。


秘密保持契約書(NDA)の最も根本的なチェックポイント

いくつかのチェックポイントがありますが、まずは最も根本的なチェックポイントとして、甲乙双方が秘密保持義務を負う形になっているかどうかという点です。秘密保持契約書は、片方が秘密保持義務を負う形になっているフォーマットのものと、甲乙双方が秘密保持義務を負う形になっているフォーマットのものに大別できます。で、片方が秘密保持義務を負う形になっているものは、だいたいが、いわゆる受託者側のみが秘密保持義務を負う形になっているようなものだったりします。



但し、これは受託者側で見た場合、受託者が業務を遂行する過程で、受託者から委託者へ何らかの秘密情報が開示・提供等される場合も当然あり得るわけです。業務を受託する前の商談取引の場で受託者が委託者に開示する情報や資料等の中に何らかの秘密情報が含まれる場合も考えられますし、業務を進めていく過程で打ち合わせや確認等をする中で、受託者が委託者に何らかの秘密情報を開示・提供等する場合というのもあり得るわけです。



よって、受託者が委託者に秘密情報を開示・提供等することも想定して、甲乙双方が秘密保持義務を負う形にするというのが、甲乙双方にとって公平な形であり、且つ実態に即していると考えます。

具体的な修正方法

それを踏まえて、もし提示された秘密保持契約書が受託者のみに秘密保持義務を課すような内容であれば、甲乙双方が秘密保持義務を負うような内容に修正等するといった対応がまず考えられるところです。まあ実際、私がご依頼を受けてリーガルチェックをする中で、そのように修正をしたものは、だいたい修正した内容のとおりで通ることが多いです。ただ、上場企業の中には、秘密保持契約書の内容を変更することはできず、別に何らかの覚書でもって秘密保持契約書の内容を修正対応するようなこともあります。こうした処理の方が面倒だと思うのですが、上場企業の中にはそうしたやり方しか受け付けないというところもありますね。



上記はどちらかといえば受託者視点でのお話しであり、逆に委託者側からみた場合、委託者が何らかの義務を負うのは出来るだけ避けたいという思惑もわからなくもないので、委託者側に立てば、受託者のみに秘密保持義務を課す形にするというのはわからないでもないところです。



このように、契約書は、甲乙どちらの視点に立つかで、チェックポイントも変わってきます。今日はどちらかといえば受託者視点に立った場合のチェックポイントですね。




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