エンタメ契約の世界

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秘密保持契約書(NDA)のチェックポイント4 秘密情報の開示可能範囲

さてこれまで秘密保持契約書(NDA)のチェックポイントとして、甲乙双方公平な形か、秘密情報の定義、秘密情報の複製の可否といった観点を取り上げさせて頂きましたが、今回は秘密情報の開示可能範囲です。


秘密情報を開示できる範囲をどこまでにするのか


秘密保持契約書を法人間で取り交わすケースについてですね、今回のお話しは。法人間で秘密保持契約書を取り交わす場合、その法人が秘密保持義務を負い、役員や社員等の従業員に秘密保持義務を課すという内容になってくるわけですが、秘密情報を必要な範囲で自社の役員や社員等の従業員に開示しなければ取引が進められません。



よって、現実問題として、その法人が受領した相手方の秘密情報は、自社の役員や社員等の従業員のうち、取引や業務上必要な役員や社員等の従業員が取り扱うことになるわけですが、こうした必要な範囲での秘密情報の開示範囲というのもチェックポイントです。



といいますのも、これは関連会社やグループ会社があるような大き目な法人は特に抑えておくべきポイントなのですが、秘密情報を取り扱うのが何も自社の役員や社員等の従業員に限らないということがあります。いわゆる関連会社(親子会社を含む)の役員や社員等の従業員が秘密情報を取り扱う場合というのもあろうかと思います。



そうした場合は、秘密保持契約書もそのような内容にしておかなければならないです。一般的な秘密保持契約書のフォーマットは、秘密情報の開示可能範囲を自社の役員や社員等の従業員に限定している形が多いです。よって、自社のみならず、関連会社(この場合関連会社の定義というものも必要になるでしょう。関連会社とせずに、親子会社という形でもよいかもしれません)の役員や社員等の従業員にも必要な範囲で秘密情報を開示することができるという内容になっているかどうかということを確認するべきでしょう。



もちろん、関連会社やグループ会社がないという場合は、上記のようなポイントを気に掛ける必要はありません。その場合は通常通り、秘密情報の開示可能範囲を自社の役員や社員等の従業員に限定しておいてよいでしょう。

結論


ですので、今回のチェックポイントは、自社の役員や社員等の従業員以外に秘密情報を開示する場合があるかどうかを検討し、そうした場合があるのであればそれをきちんと秘密保持契約書に反映すべきでしょうというお話しです。その契約当事者以外の法人は全て第三者になるわけです。仮に親子会社であっても別の法人ですので、それは第三者になります。よってそうした第三者である親子会社にも開示することがあるのであれば、それをきちんと秘密保持契約書に反映しましょうということです。


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