エンタメ契約の世界

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秘密保持契約書(NDA)のチェックポイント7 契約期間

さて、今回は秘密保持契約の期間についてですね。


秘密保持契約に限らず、だいたいどの契約にも契約期間というものが設定されます。で、その契約期間というものは、契約書によってマチマチなのですが、だいたい次のいずれかと見受けられます。



1.1年契約とし、その後双方異議がなければさらに1年間自動更新
2.取引や検討を行う期間の間有効とする
3.1年ないし2年程度の契約期間として、自動更新はしない


最も多いのがやはり1の自動更新パターンでしょう。継続的な要素を持つ他の契約でもだいたいこのような1年契約の自動更新パターンというものが多いですが、秘密保持契約もこのパターンが一番多いです。特にこれといった事情や理由がないのであれば、この1のパターンでよいのではと思います。


この1のパターンの場合、基本的には半永久的にこの秘密保持契約は有効に存続することになります。通常は、一度締結した秘密保持契約をわざわざ解約ないし解除するということはないでしょうからね。なので1のパターンの場合、秘密保持契約を締結するに至った最初の取引のみならず、その後の取引にもその秘密保持契約は適用される形になります。


次の2のパターンは少数ではありますが、時折見受けられますね。
秘密保持契約を締結するということは、その契約当事者間で何らかの取引がはじまる、又ははじめようとしているところなのだとは思いますが、そうした取引又はその取引の検討が行われている期間を秘密保持契約の契約期間としようということです。取引に応じた秘密保持契約にしたいという趣旨なのだとは思いますが、この場合、取引ごとに秘密保持契約を締結しなければならないという手間はあります。


ある取引において少し特殊な秘密保持契約を締結するというのであれば2のパターンでもよいとは思うのですが、特にこれといった事情や理由がないのであればあまりお勧めではないパターンではありますね。



あとは3のパターンですね。契約期間を1年ないし2年で区切るというもの。自動更新はなし。
これは2のパターンとだいたい同じ趣旨だと思うのですが、1年ないし2年あればその秘密保持契約のもととなった取引やその取引の検討が終了しているよね、といったところなのだと思います。2のパターンは、取引の終了又はその取引の検討の終了までとなっていますが、ぱっと見具体的な契約終了時期が不明瞭な感はあります。その点3のパターンは1年ないし2年という具体的な数字が出ていますので契約終了時期は明確です。


2のパターンよりも契約終了時期が明確であるというメリットはあるものの、これも基本的には取引ごとに秘密保持契約を締結しなければならないので、やはり特にこれといった事情や理由がないのであれば1のパターンが望ましいでしょう。



秘密保持契約に限らないのですが、契約が増えれば増える程その運用や管理にも手間がかかりますので、必要以上に多くの契約を締結するよりは、1のパターンのように極力必要最低限に抑えるというのが望ましいのではと考えます。



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