エンタメ契約の世界

芸能、アニメ、ゲーム等のエンタメに関する契約について色々と書いているブログ。

秘密保持契約書(NDA)のチェックポイント8 契約終了後の秘密保持義務期間

さて、今回で一応秘密保持契約書のチェックポイントについてはおしまいです。何かまたチェックポイントを思い出したりしましたら、書くこともあるかと思いますが、そうでなければ一旦これでおしまいです。


今回は、契約終了後の秘密保持義務期間についてです。


前回、秘密保持契約書の契約期間について書きました。その契約期間が満了した場合又は途中で解除等により終了した場合のことが今回のお話しです。


秘密保持契約書において秘密保持義務を定めますが、特段の記載がなければ通常は契約の終了とともにその秘密保持義務も終了します(法的な秘密保持義務はまた別途ありますが)。



但し、契約終了後も秘密保持義務を一定期間有効とする旨の記載を秘密保持契約書にすることで、契約終了後もその一定期間、秘密保持義務を課すことができます。よって、一般的な秘密保持契約書であれば、だいたいそうした契約終了後の秘密保持義務についての記載があります。但し、その契約終了後の秘密保持義務の期間については、マチマチではあるのですが、いくつかのパターンに分けられます。



1.契約終了後も半永久的に秘密保持義務が存続
2.契約終了後、秘密情報が秘密情報とならなくなるまで半永久的に秘密保持義務が存続
3.契約終了後、3年~5年程度秘密保持義務が存続



だいたい1と3のパターンが多いですね。ただどちらが多いといえないほどにどちらも多いので、どちらが一般的なのかと問われると判断が難しいですね。


1は秘密保持義務を契約終了後も期間の定めなく、即ち半永久的に存続させるものです。最も秘密情報の保護を強くしたものといえます。よって秘密情報を開示することが多いと想定される側からすれば、この1のパターンが望ましいわけです。


次の2は、現実的な記載といえますでしょうか。1のパターンと実質的にはあまり変わらないのですが、全ての秘密情報が秘密情報扱いとならない、すなわち秘密情報として除外される情報に該当するようになるまで(周知の情報となった等)、秘密保持義務を契約終了後も存続させるというものです。1のパターンと実質的に変わらないのですが、時折みかける記載ではあります。


最後の3は、契約終了後の秘密保持義務期間を一定の期間とするものです。ここの期間はだいたい3年・5年のいずれかであるかとが多いですね。たまに1年・2年といったものを見受けることもありますが、少数です。だいたい3年・5年ですね。それ以上という数字はあまり見ないですね。その場合は、半永久的にしてしまうでしょうから、期間を定めるという場合はだいたい最長で5年程度です。


この3のパターンは、秘密情報を受領することが多いと想定される側からすれば望ましいわけです。秘密保持義務を負う期間がある程度区切られますのでね。あとこの3のパターンの変形型としては、秘密情報の開示時から3年~5年程度に秘密保持義務期間を設定するというものもありますね。開示時ですので、契約終了時ではありません。この変形型のパターンが最も秘密情報の保護としては弱いですね。たまに見受けます。



今回もそうですね、自分が秘密情報を開示することが多い側なのか、受領することが多い側なのかで望ましい内容が変わってきますので、そうした視点で各チェックポイントをみて、適切に修正等していくことが契約書運用としては望ましいですね。


とりあえず秘密保持契約書のチェックポイントはここまでですが、また何か思い出したら書きますので、その際はよろしくです。


秘密保持契約書(NDA)の作成やリーガルチェックのご相談やご依頼等は、下記の当事務所ウェブサイトページをご覧頂ければと思います。



it-chizai.sakura.ne.jp