エンタメ契約の世界

芸能、アニメ、ゲーム等のエンタメに関する契約について色々と書いているブログ。

秘密保持契約書関連のご質問2 秘密保持契約書はどちらが提示するものですか

さてさて、前回に続いて秘密保持契約書関連のご質問や相談事例を取り上げます。今回は、秘密保持契約書を、契約当事者のどちらが提示するものなのかというお話しですね。



法的にどちらが提示するのかというものは特に決まっているわけでもありませんので、特にこれといった決まりがないことから、極論をいうとどちらでもよいのですけど、あくまで私がみている範囲で述べます。


私がみている範囲ですと、どちらかといえば秘密情報を開示する機会が多いと想定される側が提示するということが多いように見受けます。例えば、秘密保持契約を締結するもととなった取引が何らかの業務委託なのであれば、委託者側ですね。業務委託の場合、どちらかといえば委託者が受託者に秘密情報を開示する機会が想定されますので、そういう意味では委託者側から秘密保持契約書を提示するというものが見受けられます。


ただその場合であっても、委託者側に秘密保持契約書のフォーマットが特になければ、受託者側から秘密保持契約書が提示されたりしますけどね。その場合は、秘密情報を受領する側にとって有利な内容だったりするので、情報を開示することが想定される側からみれば、そういった観点で提示された秘密保持契約書をチェックすべきですね。



上記のように、どちらかといえば秘密情報を開示することが想定される機会が多い側が秘密保持契約書を提示することが多いため、傾向としては、しっかりと秘密情報を厳に取り扱うという内容の秘密保持契約書が提示されることが多いと思います。情報を開示する側からすれば、受領者にはできるだけしっかりと適切に秘密情報を取り扱ってほしいわけですからね。



あとはあまあ、秘密保持契約のもととなる取引の内容にかかわらず、会社の規模が大きい方が提示する、というパターンも割とあるといえばありますね。特に上場企業が契約相手である場合、だいたいその上場企業側から秘密保持契約書を提示するということが多いでしょう。そしてその内容は変更できなかったりするという。変更する場合は、秘密保持契約書そのものを変更するのではなく、変更のための覚書を別途取り交わす、といった感じで契約運用していることがよく見受けられますねえ。



ああそれと、上記のように、委託者側から秘密保持契約書を提示するという場合、受託者側のみが秘密保持義務を負うような形になっているタイプのものも良く見受けられますので、そういった観点でチェックすると良いと思います。確かに委託者の方が秘密情報を開示する機会は多いでしょうが、受託者側が秘密情報を開示するという機会も可能性としては当然あり得ますので、秘密保持契約書は双方が秘密保持義務を負う形がやはり望ましいですし、適切と考えます。



あとそれと、秘密保持契約書を相手に提示する場合、いきなり紙で出力して相手方に郵送するというよりは、データファイル形式で一度メールで送付して内容を確認してもらってから、紙に出力して郵送するという流れにする方が望ましいと考えます。いきなり紙で秘密保持契約書が郵送されても、なんか有無を言わさず捺印しろみたいな印象を相手に与えかねませんからね。



秘密保持契約書(NDA)の作成やリーガルチェックのご相談やご依頼等は、下記の当事務所ウェブサイトページをご覧頂ければと思います。よろしくお願いいたします。


it-chizai.sakura.ne.jp