エンタメ契約の世界

芸能、アニメ、ゲーム等のエンタメに関する契約について色々と書いているブログ。

契約書の使いまわしの注意点

企業の契約書作成・チェック修正担当の方が、業務委託契約等の契約を取引先企業と締結しようとする際、以前の同種の案件で使用した契約書をそのまま使いまわすということが良くあるかと思います。若しくは、業務委託契約書ですと、テンプレート・雛形として用意されている場合は、それを様々な取引先との契約締結の際に使いまわしていくことになろうかと思います。


契約書を使いまわすこと自体は特に問題ないのですが、そうした場合に、気をつけたいのが、契約書の前書きに記載する契約当事者欄(○○○株式会社(以下「甲」という)と△△△株式会社(以下「乙」という)ではじまる箇所)において、契約締結相手の箇所を以前に使用した取引先会社名を入力したまま別の取引先企業に契約案として提示しないようにということです。


もちろん、企業の契約書作成・チェック修正担当の方は、当然これに十分注意を払っていると思うのですが、意外とこういうことが実際に起きてしまっていることがあります。私自身がやってしまったことはないのですが、私がクライアントから契約書のチェック修正対応のご依頼を受ける際に、そういった契約書を見ることがあります。


より具体的に申しますと、A株式会社とB株式会社との間で締結する業務委託契約書について、A株式会社からB株式会社に契約案としてA株式会社フォーマットの業務委託契約書がB株式会社に提示され、B株式会社から私にその契約書のチェック修正依頼があり、その契約書を見たところ、契約当事者欄が、「A株式会社(以下「甲」という)とC株式会社(以下「乙」という)とは~」となっているような場合です。


ひどい場合は、別の取引先との対応のやり取りが契約書に残されている状態なんてものもあります(別の取引先との間で行った変更履歴やコメントといったやりとりが残った状態)。もちろんわざとそうした契約書を提示したわけではなく、「うっかり」なのだと思いますが、取引先の信用を失ってしまいかねないので、こうしたことがないよう契約書を提示する際には十分に注意が必要です。


あと、意外と見落としがちなのは、契約書データファイル(Word等)のプロパティの概要の前回保存者や作成者のところで、以前の取引先の会社名等が表示されている場合もありますので、この「前回保存者や作成者」の欄については、取引先に契約書を提示する前に、一度チェックをした方が良いと思います。



こういったミスが起きないよう、契約書を取引先に提示するにあたり、いくつかチェックポイントを作っておいた方が良いと思います。そうしたチェックポイントに沿って、問題ないと判断できた場合に、契約書を取引先に提示をするというプロセスを挟むと良いかなと思います。


以上、今回は契約書業務についてこれはやってはいけないと日々思っていることを、取り留めなく述べさせて頂きました。次から、また業務委託基本契約書の作成について書いていきたいと思います。